IT業界における企業弁護士は、いわゆる版権保護対応の業務だけでは済みません

IT業界ビジネスにおけるIT関連の訴訟業務に適切に対応できる企業弁護士はまだ少ない

昨今のIT業界のビジネスにおいては、必要とされる法的対処は実に多岐に渡りますが、他方、IT業界での法律問題の取り扱いに習熟している企業弁護士や、法律事務所はまだ限られているのが実情です。
特に、システム開発(ソフトウェア開発)の請負代金請求訴訟、契約解除に伴う損害賠償請求訴訟、ソフトウェア特許やプログラム著作権(いわゆる版権)に基づく差止請求訴訟・損害賠償請求訴訟などのIT関連の訴訟業務に、迅速、かつ適切に対応できる企業弁護士は、なかなか育っていません。

これは、IT業界ではまだまだ自社法務部門に企業内弁護士を抱えている場合が少ないことと、この業界に特有のビジネススタイルも影響しています。例えば、金融システムの開発業務を考えてみましょう。
非常にクリエイティブで、社会貢献の観点からもやりがいのあるビジネスなのですが、そもそもシステム開発(ソフトウェア開発)はルーチン化できる仕事ではありません。クライアントの提示する要件に合わせて、都度オーダーメイドでシステムを開発して納品するのです。それ故、開発途中で頓挫するプロジェクトは珍しくありませんし、プロジェクトが頓挫した場合、プロジェクト投入コストが高額であることから、損害賠償請求などの法的な問題に発展してしまうケースも多いのが実態になります。

ネットビジネスにおける独特な法律の適用方法があり、法律がまだ十分に整備されていない分野が存在している

このような事態に陥ることを予防するため、もしくはこのような自体に陥ってしまった場合に自社の損害を最小限に抑えるため、IT業界の企業弁護士は、自社の版権を保護するための知的財産保護法を始めとする法的知識のみならず、プロジェクトの現場を理解できるITエンジニア的な観点と知識も業務上必須になります。もっとも、IT業界におけるビジネス常識としては、システム開発(ソフトウェア開発)においての請負側のプロジェクトマネジメント義務、クライアント側の協力義務、瑕疵の捉え方・考え方などがあります。

また、ネットビジネスにおける著作権(いわゆる版権)の間接侵害の問題などに独特な法律の適用方法があったりするなど、一般の法律家には馴染み難い部分が存在しています。そして、法律がまだ十分に整備されていない分野が存在していたりもします。その上、システム開発訴訟や特許訴訟など、IT技術を扱う訴訟においては、法的解釈をする前提として、技術的な理解が必要なケースが多く、このようなITビジネス関連の訴訟に対応可能な弁護士などの法律家も、わが国ではまだ限られているのが現在のところです。